「胸郭出口症候群」とは、くびから脇の下にかけて神経や血管が圧迫されることにより、くびや肩、腕に痛みがでる病気です。
胸郭出口とは、鎖骨と第一肋骨の間、くびの前方にある前斜角筋と中斜角筋に囲まれた部分です。
脊髄から枝分かれした頸神経が束ねられた「腕神経叢」は、この胸郭出口を通り、さらに小胸筋の下を通って脇の下から腕につながっています。
また、心臓と腕を結ぶ血管である鎖骨下動脈と鎖骨下静脈も、胸郭出口を通っています。
この胸郭出口が狭くなることで、腕神経叢や、血管が圧迫され、肩こりやくび・肩のこわばり、腕のしびれや冷感、脱力感が生じる。
これが胸郭出口症候群のメカニズムです。
この病気は、なで肩で筋力不足の人に起こりやすく、30歳前後の女性に多くみられます。
なで肩の人はもともと胸郭出口が狭く、さらに筋力が弱いと、腕神経叢が腕の重みで圧迫されるからです。
一方、イカリ肩でくびが短く筋肉質の男性が、筋肉などで胸郭出口が狭まったため発症する例もあります。
医療機関では発症したら、温熱療法などで痛みを抑えながら運動療法で筋力をつけるという治療が一般的ですが手術にいたる例はほとんどありません。