変形性股関節症とは
骨盤と脚の骨をつなぐ関節を、股関節といいます。
股関節は、脚の付け根である大腿骨の球形の先端部分(骨頭)を、骨盤にあるくぼみ(臼蓋)が屋根のように包み込む構造になっています。
関節を構成する骨の表面は、弾力性のある関節軟骨で覆われています。
この関節軟骨があるために、硬い骨同士が直接触れ合わず、関節がスムーズに動きます。
「変形性股関節症」はこの関節軟骨がすり減り、骨同士がお互いにこすれ合うために、関節が変形する病気です。
変形性関節症の原因
股関節と脚の骨のクッションとなっている軟骨がすり減って起こる痛みの症状は、先天的に骨の形が異常である場合があります。
「臼蓋形成不全」は大腿骨が当たる部分の骨盤の軟骨が少ない状態ですので、股関節にかかる負荷がかなり増えます。
先天性以外では、股関節部分への外傷も考えられます。
さらに、加齢に伴い長い年月をかけて軟骨がすり減ってしまうことも原因と言えるでしょう。
先天性の場合でも女の子に現れやすく、後発的にでも中高年以上の女性の方が変形性股関節にかかりやすいとされています。
症状
股関節に先天的な異常があったり、幼少期から骨格に変形があっても、すぐに変形性股関節症が発症するというわけではありません。
たいていは、30~40歳代になってから、症状が現れてきます。
初期には、運動後や長く歩いた後などに、だるさや体が重い感じがします。
後から考えてみると思いだす程度の、軽いものです。
進行すると、痛みが出てきます。
特に、歩き始めの数歩に痛みを感じます。
その後は痛みなく歩けますが、やがてまた痛み始めるということを繰り返します。
また、長く歩いた日には、夕方になって痛むこともあります。無理をすると、夜まで痛みが治まりません。
変形が進むと、股関節の動かせる範囲がだんだん狭くなり、「あぐらをかく、靴下を履く、足の爪を切る」などの日常生活上の動作が、しにくくなります。
また、足を引きずったり、歩くときに体が揺れるなど、脚や体の動きに変化が出てきます。
これは痛みのためだけでなく、股関節の変形によって両脚の長さに差が出ることや、お尻の筋力低下で、歩行時の骨盤の位置が不安定になることが原因となっています。